2024.12.12
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相続における換価分割とは?メリット・デメリットや税金も解説
この記事のハイライト
●換価分割とは相続した財産を売却し金銭に換えてから分割する方法
●公平性を保てたり相続税の節税につながったりするが手続きに手間がかかるなどのデメリットも生じる
●換価分割では原則贈与税はかからないが相続税と譲渡所得税は課されることがある
相続が発生すると、被相続人の財産を平等にわける必要があります。
遺産の分割方法は複数あり、そのなかのひとつが「換価分割」です。
今回は換価分割とはなにか、メリット・デメリットと換価分割でかかる税金をあわせて解説します。
遺産分割協議書の書き方もご説明しますので、横浜市や川崎市、湘南エリアで不動産を相続する予定の方は、ぜひ参考になさってください。
目次
- ・1. 相続の換価分割とはなに?
- ・2. 相続で換価分割を用いるメリットとデメリット
- ・3. 換価分割での相続にかかる税金
- ・4. まとめ
相続の換価分割とはなに?
まずは、相続の換価分割とはなにか、遺産分割協議書の書き方とともに解説します。
換価分割とは?
換価分割とは、相続した財産を売却し、金銭に換えてから分割する方法です。
土地や建物など、分割しにくい財産を相続した場合に用いられます。
たとえば、相続した財産が時価3,000万円の土地で、法定相続人がAさん・Bさん・Cさんの3人だったとします。
土地を売却し、現金をそれぞれ1,000万円ずつ分割するのが換価分割です。
換価分割が適しているケースとは
換価分割が適しているのは、下記のようなケースです。
- ・活用予定がなく、そのままの形での取得を誰も希望しない
- ・相続税を支払うための現金を用意したい
たとえば、活用予定がなく、取得を誰も望んでいない不動産が相続財産に含まれるケースでは、換価分割が適しています。
土地や建物は所有しているだけでコストがかかるため、維持が困難だと判断し、敬遠する相続人も少なくありません。
また、相続税を支払うための現金を用意したい場合も、換価分割が適しているケースです。
相続税は原則として現金一括払いであるため、まとまった現金を準備する必要があります。
相続税の納付期限内に売買契約が成立した場合、換価分割で得た金銭を相続税の納付にあてることが可能です。
その他の分割方法とは
換価分割以外の分割方法は、下記の3つです。
- ・現物分割
- ・代償分割
- ・共有分割
現物分割とは、財産の性質を変えずにわけることです。
相続した財産が土地と預貯金で、法定相続人がAさん・Bさんの2人だったとします。
Aさんが土地、Bさんが預貯金のように分割するのが現物分割です。
代償分割とは、不動産を取得した方が、他の方に代償金を支払う方法です。
たとえば相続した財産が時価3,000万円の土地のみで、Aさんが取得した場合、BさんとCさんにそれぞれ1,000万円ずつ支払い調整します。
共有分割とは、ひとつの不動産を、相続人同士で共有することです。
法定相続分に沿って、それぞれが持分を共有します。
遺産分割協議書の書き方とは
換価分割における遺産分割協議書の書き方は、共同名義か単独名義(代表者の名義)かで異なります。
遺産分割協議とは、誰がどの財産をどのくらいの割合で取得するかを話し合うことです。
共同名義の場合、一般的には遺産分割協議をおこなったことや、相続人それぞれの持分、不動産の情報や換価分割にて現金をわける旨を記載します。
単独名義の場合は、遺産分割協議にて誰が財産を相続するのか、不動産の情報や、換価分割によって現金をどのような割合でわけるのかを記載するのが一般的です。
相続で換価分割を用いるメリットとデメリット
続いて、相続で換価分割を用いるメリットとデメリットを解説します。
メリット1:公平性を保てる
メリットとしてまず挙げられるのが、公平性を保てることです。
換価分割は財産を現金化し、1円単位で分割できます。
現物分割の場合、取得する財産の資産価値によっては、不満が生じる恐れがあるでしょう。
平等にわけられれば、円満な相続をおこなえます。
メリット2:分割が困難な財産でもわけやすい
土地や建物は、物理的に分割するのが困難な財産です。
換価分割を用いれば、スムーズに分割できます。
相続した財産が不動産のみの場合などに、換価分割が効果を発揮するでしょう。
メリット3:相続税の節税につながる
メリットとして、相続税の節税につながることも挙げられます。
相続税は、相続財産の評価額をもとに計算します。
土地は時価の8割程度、建物は時価の7割程度で評価されるのが一般的です。
そのため、現金に比べて相続税を節税できる可能性が高いと言えます。
デメリット1:財産を売却しなくてはならない
デメリットは、財産を売却しなくてはならないことです。
思い入れのある実家や、活用したい土地や建物であっても手放さなければなりません。
相続人の中に「実家を残したい」などの理由で換価分割に反対する方がいる場合は、話し合いが難航する恐れがあります。
デメリット2:手続きに手間や費用がかかる
手続きに手間がかかるのも、デメリットのひとつです。
換価分割を用いる場合、財産を売却する必要があります。
不動産の査定から引き渡しまでは、多くのステップを踏まなくてはなりません。
また、売却する際は仲介手数料や印紙代などの費用もかかります。
デメリット3:すぐに売却できない可能性がある
デメリットとして、すぐに売却できない可能性があることも挙げられます。
不動産は売りに出したからと言って、すぐに売却できるとは限りません。
とくに注意したいのが、相続税は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に納める必要があることです。
期間内に売却できなくても、相続税を支払う必要があります。
また、査定金額より売却価格が安くなるケースも少なくありません。
相続税の支払い時期が迫っていることで足元を見られ、値引き交渉に応じなければならない可能性もあります。
換価分割での相続にかかる税金
最後に、換価分割で相続する場合にかかる税金について解説します。
税金1:相続税
課税対象となる財産が相続税の基礎控除額を上回る場合、相続税がかかります。
課税対象となる財産とは、現金や預貯金などのプラスの財産から、借金や未払金といったマイナスの財産を差し引いたものです。
プラスの財産には、換価分割した不動産も含まれます。
相続税の基礎控除額の計算方法は、下記のとおりです。
基礎控除額=3,000万円+(法定相続人の数×600万円)
上記の計算式で算出した金額より、課税対象となる財産の金額が大きいと、相続税がかかります。
税金2:譲渡所得税
換価分割でかかる税金として、譲渡所得税も挙げられます。
譲渡所得税とは、不動産を売却して譲渡所得(売却益)が生じるとかかる税金です。
譲渡所得に対してかかるため、どのくらいの利益が出たかによって課税額は異なります。
譲渡所得の計算方法は、下記のとおりです。
譲渡所得=不動産の売却価格-(取得費+譲渡費用)
取得費とは、相続した不動産の購入時にかかった費用で、不動産取得税や登記費用などが挙げられます。
譲渡費用とは、仲介手数料や印紙代など、売却時にかかった費用です。
ただし、特別控除の利用により譲渡所得がゼロになり、譲渡所得税が非課税になるケースもあります。
税金3:贈与税
換価分割をする旨と現金の分配割合を遺産分割協議書に記載すれば、基本的に贈与税が課されることはありません。
ただし、記載が不十分な場合は贈与とみなされる恐れがあります。
まとめ
換価分割での相続には、分割が困難な財産でも平等にわけられるといったメリットがあります。
その一方で、思い入れのある不動産を手放す必要があることなどがデメリットです。
換価分割では、相続税のほかに譲渡所得税がかかる可能性もあるため、事前によく確認しておきましょう。
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